「CAD/CAM冠ってよく聞くけど、保険が適用されるのかな」と疑問に思われていませんか?
近年になって、安価かつ治療の痕跡が目立ちにくくいことから徐々に利用されるようになっている「CAD/CAM冠」。今回は、以下の内容を解説します。
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- CAD/CAM冠(キャドキャム冠)の概要
- CAD/CAM冠の保険適用が範囲
- CAD/CAM冠の4つのメリット・デメリット
- CAD/CAM冠の施術をおすすめの人の特徴
- CAD/CAM冠の流れ
虫歯の治療をしたいけど銀歯は目立つから避けたい、でもセラミックの場合お金がかかり過ぎるからできれば他の治療方法を検討したい患者さんにおすすめです。
この記事を読んで、ぜひ参考にしてください。
CAD/CAM冠(キャドキャム冠)とは
CAD/CAM冠とは、専用の機械で患者の歯型のデータをスキャンし保存することで、患者のお口の状態に合わせた歯科用の修復物を機械によって作成する治療方法です。
歯科用のCAD/CAMシステムによって、歯科技工士以外の人以外でも患者さんのお口に適した被せ物を作れます。
従来は歯科技工士が1つ1つ詰め物や被せ物を作成していましたが、専用の機械であればスキルのない人が簡単に作ることができます。
また、CAD/CAM冠には2024年6月から保険の適用範囲が拡大されました。比較的費用を抑えられて、自然な仕上がりで治療を受けられるでしょう。
CAD/CAM冠の保険適用範囲
CAD/CAM冠による治療は、保険が適用される範囲が決まっています。
2024年6月より、上顎・下顎の第一〜第三大臼歯までが保険の適用範囲として追加されました。(画像の6〜8番が対象)
※前歯・小臼歯(画像の1〜5番)は2020年9月より保険の適用範囲です。
つまり現在は、口腔内全ての歯に対するCAD/CAM冠が保険適用となっています。
また、保険を適用するには、以下の条件を満たす必要があります。
必須条件 | CAD/CAM冠によって治療する歯の反対側で、上下に噛み合う歯があること |
---|---|
追加条件 (1or2のどちらか) |
1.CAD/CAM冠によって治療する歯と左右同じ側に、上下に噛み合う歯があり、治療の対象となる歯に負荷がかかり過ぎない。(画像の例3〜5) 2.CAD/CAM冠によって治療する歯と左右同じ側に、上下に噛み合う歯がないまたは義歯の場合、隣の歯が噛み合う。(画像の例6・7) |
参考:「令和6年度歯科診療報酬改訂の主なポイント」3P|厚生労働省
内容が複雑であるため、治療を受ける前に歯科医師に相談して自身の口腔状況が条件を満たしているのかチェックしてもらいましょう。
CAD/CAM冠の4つのメリット
CAD/CAM冠のメリットは以下の4つです。
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- 金属アレルギーが起こりにくい
- 保険が適用され安価で作成できる
- 自然な仕上がりになる
- 短時間で作成できる
それぞれ解説していきます。
金属アレルギーが起こりにくい
CAD/CAM冠は、セラミックが材料として使われているため金属アレルギーを持っている患者でも治療を受けることができます。
従来では、保険の適用範囲で奥歯の治療となると、銀歯を入れることが一般的でした。ですが銀歯では、長く使用していると金属成分が溶け出し、無意識のうちに金属成分を体内に取り込んでしまうリスクがありました。
一方CAD/CAM冠では、金属を使用していないため、金属アレルギーの心配はがないため、安心して治療を受けていただけます。
保険が適用され安価で作成できる
条件を満たす必要がありますが、保険が適用される虫歯治療のため費用を抑えることができます。
治療の相場として、以下のとおりです。
型取り(レントゲン費用) | 装着 | |
---|---|---|
CAD/CAM冠 | 約4,500円 | 約6,000円 |
もしセラミックで被り物を作ろうとすると、約10〜22万円かかります。比較的、リーズナブルな治療といえるでしょう。
自然な仕上がりになる
CAD/CAM冠は、保険が適用される治療の中でも、とくに自然な仕上がりで治療を受けることができるでしょう。銀歯のような金属をしていないため、治療の後が目立ちにくいです。
また、使用されている材料は歯科用のプラスチックとセラミックを混ぜた合わせたもので、既存の歯に近い材料が使用されています。
虫歯の進行が進みコンポジットレジンでは治療がまかないきれないときに、検討するのをおすすめします。
短時間で作成できる
CAD/CAM冠では、患者さんの口腔状況によりますが最短1日間で作成することが可能です。
今までのやり方では、歯科技工士が手作業で作成すると完成までに1週間ほど時間が必要でした。
しかし、専用の機械を使用すれば患者の口腔状況をスキャンすることで、技術力のないスタッフでも短時間で患者1人1人に適した修復物を作れるようになったのです。
何度も通院する必要がなくなり、作成期間も短いのがCAD/CAM冠の特徴です。。
CAD/CAM冠の4つのデメリット
CAD/CAM冠のデメリットは以下の4つです。
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- 長期間使用していると変色する
- 銀歯やセラミックよりも強度が劣る
- 銀歯よりもコストがかかる
- 色調に種類がなく不透明
メリットだけでなくデメリットも正しく把握して、治療後に後悔がないようにしましょう。
長期間使用していると変色する
長時間使用していると、食べ物や劣化により色が変わる可能性があります。
歯科用プラスチックとセラミックを混ぜて作られているため、100%セラミックでできている人工歯よりも表面がくすんだり、汚れやすかったりします。
定期検診をおこない、歯科医師さんにチェックをしてもらいましょう。
銀歯やセラミックよりも強度が劣る
銀歯やセラミックよりも強度が劣っている点も、デメリットの1つです。
強い圧力がかかったり急激な温度変化を繰り返したりすると、破損や欠損の原因になります。
強度を気にされる場合は、セラミックや銀歯を利用することをおすすめします。
銀歯よりもコストがかかる
比較的費用が安いCAD/CAM冠ですが、それでも銀歯より費用がかかってしまいます。
CAD/CAM冠では、歯科用プラスチックとセラミックを混ぜた材料で作られています。セラミックでは保険が適用されないこともあるため、その分銀歯よりもコストがかかってしまうのです。
なお、銀歯による虫歯治療の場合は4,000円ほど、CAD/CAM冠の場合は1万円ほどかかります。
色調に種類がなく不透明
CAD/CAM冠では、色に種類がないため患者さんの歯の色に合ったものを選べない可能性があります。
セラミックの場合、シェードガイドという色見本を患者の既存の歯と照らし合わせながら治療を進めることができます。
CAD/CAM冠では色のバリエーションも少なく色も不透明のため、治療の位置によっては目立ってしまうかもしれません。
CAD/CAM冠とその他の被せ物との違い
CAD/CAM冠とその他の被せ物の違いは以下のとおりです。
CAD/CAM冠 | 銀歯 | セラミック | |
---|---|---|---|
見た目 | ◯ | × | ◎ |
耐久力 | △ | ◎ | ◎ |
保険適用 | ◯(条件付き) | ◎ | × |
費用 | 約10,000円 | 約4,000円 | 約30,000円〜50,000円 |
費用や耐久力、見た目をそれぞれ比較して、自分の理想とする治療を受けるようにしましょう
関連記事:CAD/CAM冠と銀歯はどっちがいい?メリット・デメリットと違いを解説
CAD/CAM冠の施術をおすすめする人の特徴
CAD/CAM冠の施術をおすすめする人の特徴は、前歯に虫歯ができてしまった人と金属アレルギーの人です。
それぞれについて、以下から解説します。
前歯に虫歯ができてしまった人
前歯が虫歯になってしまった場合、CAD/CAM冠の治療を受けることをおすすめします。
前歯は人から視線を集めやすいので、治療したことが目立ちにくいCAD/CAM冠は、とくに最適な治療であるといえます。
CAD/CAM冠であれば、治療後もコミュニケーションに自信が持てるでしょう。
関連記事:白い詰め物でも虫歯治療は可能!種類別の費用やメリット・デメリット
金属アレルギーの人
金属アレルギーの人はCAD/CAM冠を検討しましょう。CAD/CAM冠では、材料の中に金属が含まれないからです。
セラミックも金属を含みませんが、保険が適用されないためCAD/CAM冠よりも費用が高くなってしまいます。金属アレルギーの方で費用を抑えたという方には、CAD/CAM冠がとくにおすすめです。
CAD/CAM冠による治療の流れ
CAD/CAM冠による治療は以下の流れでおこなわれます。
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- 診察の予約
- 診察
- 歯型のスキャン
- 治療
- アフターフォロー
治療にかかる時間は最短1日ほどです。患者の歯型をスキャンして修復物を作成するので、数時間はかかります。
まとめ
今回、2024年6月より保険適用が拡大された虫歯治療のCAD/CAM冠について解説しました。
保険適用が拡大されたことで、さらに費用を抑えた虫歯治療が可能となっています。また金属アレルギーの方でも治療が可能であり、銀歯よりも自然な仕上がりを期待できます。
しかし、メリットもある分、デメリットがあるのも事実です。特徴と長所と短所を把握し、自分にあった治療を受けられるようにしましょう。
当院では、患者様一人ひとりの口腔状態に合わせたCAD/CAM冠による虫歯治療が可能です。虫歯に関するお悩みは、中葛西歯科までお気軽にご相談ください。