「CAD/CAM冠と銀歯って、どっちを受ければいいのかな」と悩む方も多いでしょう。口腔内の状態や噛み合わせ、価値観など状況に応じて、どちらの治療が適しているかはっきりと判断するのは難しいものです。
そこで今回は、CAD/CAM冠と銀歯について、以下の内容を解説していきます。
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- CAD/CAM冠のメリットとデメリット
- 銀歯のメリット・デメリット
- 【一覧表】CAD/CAM冠と銀歯の違い
この記事を最後まで読むことで、CAD/CAM冠と銀歯についての理解を深められるだけでなく、再度治療を受け直すといったリスクを避けられるようになります。
詰め物・被せ物の治療方法でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
CAD/CAM冠のメリットとデメリット
CAD/CAMとは、コンピューターで被り物・詰め物の設計・加工をおこなおい、噛み合わせにあわせた歯科治療をおこなう技術です。
技術の進歩により短時間で自然の歯とほぼ同じ見た目の被り物・詰め物を装着できるなどのメリットがある一方、耐久性に問題があるなどデメリットも存在します。
ここでは、銀歯と比較したCAD/CAM冠のメリットとデメリットを詳しく解説します。
CAD/CAM冠のメリット
CAD/CAM冠のメリットは主に以下の3つです。
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- 自然な仕上がりになる
- 金属を使用しない
- 治療期間が短い
それぞれ見ていきましょう。
自然な仕上がりになる
CAD/CAM冠は、天然の歯のような自然な仕上がりになります。
CAD/CAM技術を使用することで、一人ひとりの歯の形や色調に合わせた設計が可能なので、装着後も他の歯と違和感なく馴染みます。
また、使用される材質も歯科用プラスチックとセラミックを混合した「ハイブリットレジン」です。セラミック治療に比べ色のバリエーションはありませんが、銀歯よりも治療の後が目立たないでしょう。
金属を使用しない
CAD/CAM冠は、素材に金属を使用していません。
そのため、金属アレルギーを持つ方でも安心して治療を受けられます。また、長年使用をしていると劣化により金属成分が溶け出すリスクもありません。金属成分が歯肉や歯肉の結合組織内部に混入することで黒く変色する「メタルタトゥー」を避けられます。
治療期間が短い
CAD/CAM冠は、銀歯をはじめとしたその他の治療と比較して治療期間が短いです。
今までは、長年経験を積んだ歯科医師でしか冠(クラウン)を作れず、型取りから完成までに数週間かかっていました。また、冠(クラウン)を紛失したり壊したりすると、また一から作り直しになり歯に負担がかかっていました。
しかし、CAD/CAM技術が導入されたことでその工程が大幅に短縮され最短1日で作れます。患者の歯をスキャンしデジタルデータを保存しているので、紛失してもまたすぐに作り直すことが可能です。
通院回数が減ることで、忙しいスケジュールの中でもスムーズに治療を受けられるでしょう。
CAD/CAM冠のデメリット
審美性が高く金属アレルギーがない人でもリーズナブルな費用で治療を受けられる一方、以下のようなデメリットも存在します。
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- 耐久性が低い
- 治療を受けられる歯科医院が少ない
- 歯を削る必要がある
それぞれ解説していきます。
耐久性が低い
CAD/CAM冠は、銀歯と比較して耐久性が低いです。
CAD/CAM冠に使用されるハイブリットレジンは歯科用プラスチックが含まれているため、セラミックや銀歯よりも耐久性に劣ります。
特に、奥歯のように強い咬合力がかかる部位では、破損や歪みが起こりやすいです。歪んでしまうと外れやすくなってしまうので、再度治療を受ける必要があります。そのため、食いしばりや歯ぎしりが癖になっている人にはCAD/CAM冠はおすすめしません。
また、傷つきやすいため汚れ(プラーク)や色が付着しやすく、変色してしまうリスクもあります。硬い食べ物を頻繁に食べる方は、CAD/CAM冠の治療を受けるのは控えましょう。
治療を受けられる歯科医院が少ない
CAD/CAM治療には専用の機械が必要なため、どこの歯科医院でも受けられるものではありません。
CAD/CAM治療の機械を導入している歯科医院が限られていることから、受診可能な医院を探すのに手間がかかる可能性があります。
歯を削る必要がある
CAD/CAM冠を装着するには、銀歯よりも歯を削る必要があります。
銀歯よりも丈夫ではないため、耐久力を出すために厚みを持たせる必要があります。厚みを出すためにはその分歯を深く削らなくてはなりません。
また、歯を削りすぎると健康な歯自体の耐久性が下がってしまったり、神経を刺激してしまったりするリスクが存在します。
健康な歯を削ることに抵抗を感じる方も少なくありません。そのため、事前に歯科医師と相談し、納得したうえで治療を進めることが大切です。
関連記事:CAD/CAM冠のデメリットは?CAD/CAM冠で後悔しないための注意点も解説
銀歯のメリットとデメリット
銀歯は長年おこなわれてきた詰め物・被せ物治療の一つです。保険が適用され費用を抑えられるだけでなく、強度が高いため奥歯の治療に適しています。
ここからは、銀歯のメリット・デメリットについて解説していきます。
銀歯のメリット
銀歯のメリットは、主に以下の3つです。
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- CAD/CAMより費用が安い
- 頑丈で壊れにくい
- 変色しにくい
それぞれ解説していきます。
CAD/CAMより費用が安い
銀歯は、CAD/CAMより費用が安く済みます。銀歯の費用は被せ物なら約5,000円で、CAD/CAM冠の費用は1本あたり約6,000円です。
さらに、CAD/CAM冠とは異なり大きな虫歯でも治療を受けることができます。もし歯を抜かなければならないほど虫歯が進行していても、約1.5万円ですみます。
そのため、治療費を抑えたい方にとって、選びやすい治療となっています。
頑丈で壊れにくい
銀歯は金属を使用しているため、頑丈で壊れにくいです。
そのため、奥歯のような強い咬合力がかかる部位や食いしばり・歯ぎしりが癖になっている方の歯の治療に適しています。
セラミックやCAD/CAM冠よりも割れにくいため、硬い食材を頻繁に口にする方におすすめです。
変色しにくい
銀歯は金属素材のため、その他の詰め物や被せものに比べて変色しにくいです。
セラミックやCAD/CAM冠では、長期間使用するうちに色が変わったり、表面が劣化して汚れが付着したりすることがあります。しかし、銀歯自体は変色しにくいのが特徴です。
銀歯はケアを怠らなければ5〜7年、長ければ10年以上も持ちますので、頻繁に歯科医院へ通院する必要もありません。
銀歯のデメリット
保険が適用される丈夫な素材が使用される伝統的な治療方法である一方、以下のようなデメリットも存在します。
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- 審美性がない・目立ってしまう
- 外れてしまうリスクがある
- 虫歯になりやすい
一つずつ見ていきましょう。
審美性がない・目立ってしまう
銀歯は審美性がなく、目立ちやすいです。
金属特有の色や艶が自然の歯と異なるため、口を大きく開けたときなどに目立ってしまいます。
また、銀歯の金属成分が歯肉や近くの歯に溶け込んでしまい、変色してしまうリスクも存在します。
そのため、見た目を気にする方は銀歯で治療を受けるのは避けるのが無難でしょう。
外れてしまうリスクがある
銀歯は長年使用していると外れてしまうリスクが存在します。
銀歯は頑丈で割れにくいですが、歪んで変形してしまうケースがあるのです。一度歪んでしまうと自力で形を整えることはできません。
また、長期間使用していると接着力が弱まることも、外れやすくなる原因です。
さらに、銀歯は金属のため温度によって伸び縮みが起こります。たとえば、温かいコーヒーを飲んだ後に、冷たいアイスを食べたりすると金属が伸び縮みが起き、隙間ができて外れてしまうのです。
もし外れてしまったときは、歯科医院のもとで再装着や新しい冠(クラウン)の作成が必要になる場合があります。
虫歯になりやすい
銀歯は、虫歯を再発するリスクがあります。
銀歯が歪んでしまったり、経年劣化とともに隙間が生まれたりすると、銀歯と歯の境目に汚れやプラークが溜まりやすいからです。
金属が健康な歯の表面を覆い被さっているので、見た目では判断しにくいでしょう。歯が染みるようになって虫歯が進行していたことに気づくケースもあり、注意が必要です。
【一覧表】CAD/CAM冠と銀歯の違い
CAD/CAM冠と銀歯の違いを一覧表にまとめました。以下の表を参考に、治療を受けるときの参考にしてください。
項目 | CAD/CAM冠 | 銀歯 |
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見た目 | 約4,500円 | 約6,000円 |
耐久力 | 約3,000円 | 約4,000円 |
保険適用 | ◯ | ◯ |
治療期間 | 1週間程度 | 最低でも2週間程度 |
金属アレルギー | リスクなし | リスクあり |
一人ひとりの口腔状況や価値観によってどちらの治療を受けるべきかは異なります。信頼できる歯科医師に相談し、慎重に検討しましょう。
まとめ
今回、CAD/CAM冠と銀歯のどっちを受けるべきかを解説しました。
CAD/CAM冠は審美性が高く自然な仕上がりになる一方、耐久力は銀歯に劣ります。銀歯は奥歯などの高い圧力がかかる部位の治療に適していますが、周りの歯や歯肉が黒ずんでしまうリスクがあります。
どちらも一長一短があるため、悩んでしまう方も多いでしょう。中葛西歯科にご相談していただければ、患者様の要望をヒアリングしたうえで最適な治療をご提案させていただきます。