歯周外科治療について
歯周外科手術は、歯周病が重度にまで進行した際に行う治療です。歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの溝の歯周ポケットが深くなり、奥に歯垢・歯石が溜まります。また、歯を支える歯ぐきや歯槽骨が破壊され、歯が揺れるようになります。そこで、歯周ポケットの奥に潜む歯垢・歯石を除去する「フラップ手術」、増殖した歯茎を切除する「歯肉切除術」などを行い、歯茎・歯槽骨の回復を促します。
歯周外科治療
フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
フラップ手術(歯肉剥離掻把術)は、歯ぐきを切開・剥離して、歯周ポケットの奥深くにある歯垢・歯石を目視で除去し、歯茎を縫合して元に戻す治療です。スケーリングやルートプレーニングといった歯周病の基本治療で改善しなかったり、深い歯周ポケットの奥に炎症が残っていたりする場合に行います。歯垢・歯石の徹底的な除去だけではなく歯肉の形態を整えることもできます。
歯肉切除術
歯肉切除術は、歯周病や歯肉増殖症などが原因で増殖した歯肉を切除し、歯周ポケットを改善させる外科手術です。これにより、歯垢を除去しやすい状態にすることで、歯周病の改善を促します。歯肉切除術は、歯肉の位置が下がって歯が長くなったように見えたり、歯根が露出することで知覚過敏になったりするため、あまり行われていません。フラップ手術や歯周組織再生療法を主軸とし、必要に応じて歯肉切除術を行います。
歯周組織再生療法
GTR法
GTR法とは、メンブレンという特殊な膜で、歯周病によって破壊された歯ぐきを覆うことで、歯周組織を再生できるスペースを確保する処置です。通常の歯周外科治療を行っても、破壊された歯茎や歯槽骨は回復しません。これは、骨よりも先に歯肉が回復することで、骨が回復するはずのスペースに歯肉が入り込むためです。このような事態を防ぐために、メンブレンで破壊された場所を覆い、歯肉が入り込むのを防ぎます。 GTR法は1982年から行われていますが、メンブレンを正しく設置するには高度な技術が必要なため、的確な処置ができるかどうか歯科医師の信頼性を見極める必要があります。
エムドゲイン
エムドゲインは、歯周組織の再生を促すエナメル基質タンパク質を含む「エムドゲインゲル」を塗布する処置です。歯周病によって破壊された部位の歯根面に塗ると、歯周組織の再生を促すことができます。1997年から世界中で行われている実績ある治療法です。
歯周外科治療が受けられないケース
歯周外科手術は、身体の病気や服用中の薬によっては行えない場合があります。例えば、外科手術のリスクが高い持病、血液をさらさらにする薬の服用などが挙げられます。また、外科手術でも改善が見込めないほどに歯周病が進行している場合は、抜歯も視野に入れなければなりません。歯科医師と十分に話し合ったうえで、ベストな治療計画を立てることが大切です。